【腰椎椎間板ヘルニア】〜入院6日目 神経根ブロック注射〜

少しずつ痛みが引いてバルーン(導尿の管)を外したのが入院5日目の日曜日のこと。


7月8日(月)神経根ブロック注射

入院して初の土日が終わり、明けて月曜日は神経根ブロック注射の日だ。ちなみにこの神経根ブロック注射、病院の内部用語ではルートブロックと呼ばれている。

最初に街の整形外科を受診した際に受けた注射は「仙骨ブロック注射」だった。今回のルートブロックとはどう違うのだろうか。いろいろ調べてみると、仙骨と神経根はとても近い位置にあることが分かった。どちらも背骨の下のほうなのだが、仙骨のほうがより下で尾てい骨に近い位置だ。こちらは範囲的にもある程度広いようで、うつぶせで腰骨の下にクッションを入れてお尻を少し持ち上げた姿勢を取れば、手慣れた専門医なら比較的簡単に目的の位置に針を入れることができる模様。だから街の整形外科でも気軽に打つことができる。

今回のルートブロックは仙骨よりもやや上で、脊髄の中にある神経から足に向かって神経が枝分かれしている始点のところを狙う注射だ。足の神経の根元だから神経根と言うわけである。神経根は腰骨の下のほうに何段かにわかれて存在しており、さらに左右が別々になっている。私の場合下から2段目にヘルニアが飛び出しており、左足側の神経根を圧迫しているので、そこをピンポイントに狙って針を挿入し、麻酔薬を注入して、痛みを緩和するのが一番の目的だ。さらに麻酔薬は一時的に痛みを感じなくさせるだけでなく、炎症を抑える働きもあるため、恒久的な治療の効果もある程度期待できるという。

神経根のすぐそばまで針を挿入するということは、ひとつ間違えれば神経を傷つけてしまう恐れがあるので、熟練の医師といえども感だけでは針を挿入することはできない。そこで、レントゲンの一種で、リアルタイムでレントゲン映像を見ることができる透視装置を使って、身体の中を確認しながら慎重に狙いの位置に針先を刺し進めるのである。


とまあ、前置きが長くなったが、仙骨ブロックよりもさらに高い効果が期待できる治療であり、保存的(手術以外の手段ということ)な治療としては最大の効果が期待される、エースの登場と言える。

昼食を食べてから13時過ぎに、透視装置のある部屋に車椅子で向かった。ほんとうは車椅子ではかなり痛みがあるためつらいのだが、ストレッチャーを用意してもらうのは大げさな気がして言い出すことができなかったのだ。

痛みをこらえながら車椅子を押してもらって病室にある3階から1階に下りる。幸い透視室はエレベーターから10メートルほどの近さなので、それほど苦しまずに透視台の上に横になることができた。血圧をチェックされていよいよ処置の開始だ。針を入れるのは主治医である。

まずは神経根まで針を入れるための麻酔である。あちこちの体験談を読むと、この注射は痛い、と書いてある人もいたので少しビビッていたのだが、実際はまず針を入れるところに部分麻酔を打つため、痛みはほとんどない。針を入れるための麻酔を打つときが一番痛いぐらいで、その痛みも短時間で十分耐えられるレベル。初めてルートブロックにトライする人には、それほどの痛みじゃないので恐れる事はないと言っておこう。

「はい、打ちますよー」と主治医の声と同時に、私の神経根に麻酔薬がかけられると、左足にビリビリとした感触が走った。痛いと言うほどではない。「何か感じましたか?」という先生に、「少しビリビリ感じました」と言うと、「じゃあ、うまくいったかもしれませんね。これで終わりです」とのことで、処置はあっさり終了した。

その後車椅子に座らされて病棟看護師の迎えを待っていたのだが、この間が数分と長かったので、左足臀部がじんじんと痛い。今回の処置で一番つらかった時間である。しかし、ルートブロックは効く場合は処置の直後から劇的に痛みが消える場合もあるというので、私の場合はそこまでは効かなかったことがいきなりハッキリしてしまった。

病室のベッドに戻ってからは30分の安静を命じられる。麻酔が切れるまでは足元がふらつくことがあるので、大人しくしていろということらしい。実際はそこまで効くことはまれで、念のため30分安静という感じである。

劇的に効くことはなかったが、日に日に痛みが和らぐケースも多いと言うので、明日以降に期待である。